「FX取引には手数料がありません。スプレッドが実質的な手数料です」こんな説明をよく見かけますが、鵜呑みにするのは危険です。FXにはスプレッド以上に注意するべきコストがあります。約定率、スリッページ、スプレッドの変動です。
スプレッド以外のコストを把握せずに、スプレッドを比較しても全く意味がないんです。正直、「米ドル/円のスプレッドが0.3銭とか、1銭とか」より重要になってきます。
それぞれのコストを把握して、対策することで大損しないトレードを行いましょう。
注文が成立しない。約定率とは?
約定率(やくじょうりつ)は、注文が成立する確率の事です。FX取引では、全ての注文が約定するわけではありません。例えば、成り行き注文で、買いのボタンをクリックしても、注文が成立しない事があります。
約定率が低いFX会社は、こんな事が頻繁に起こります。
新規注文時、ポジションを持つ時に、注文が約定しないという事は、ノーポジションのままという事です。ロスカットの決済注文の時に、注文が約定しないという事は、損失がどんどん膨れ上がっていく可能性があります。約定率が低いと勝てるトレードでも、勝てなくなってしまいます。
約定率100%のFX会社なら、全ての注文が成立する。99%なら、100回に1回は拒否される計算になります。
100回に1回でも、トレードチャンスの時に、注文が成立しないのは非常に困ります。狙っていたレートで注文が通らないと、 感情的になってしまうこともあるでしょう。心が乱れると、予定外の行動をとってしまうものです。結果、大損する原因にもなりかねません。
スリッページ
注文したレートと、違うレートで約定する事をスリッページといいます。
例えば、成行で107.155の買い注文をだしたのに、約定した価格は107.185だった場合、3pips高く買ったことになります。これがスリッページです。「スプレッドは0.3銭だと思ってたけど、どういう事?」ってなりますよね。
スリッページが発生する様子を「すべる」といったりします。上記の図の場合、3pipsすべったことになります。
スリッページは、成行注文と逆指値注文で発生します。基本的に、指値注文では発生しません。例えば、米ドル/円の買い注文を指値107.50円で入れた時、107.49円では約定しないという事です。「すべって安く買えた。ラッキー!」とはなりません。
ほとんどの場合、スリッページが発生すると、トレーダー側に不利なレートで約定するのです。FX会社によっては、たまに有利なレートで約定することもありますが、ほぼ不利なレートで約定すると思ってください。
スリッページの許容範囲を設定する
スリッページの許容範囲を設定することで、スリッページを制限することができます。許容範囲を5pipsに設定した場合、5pipsを超えると約定しません。許容範囲を0に設定すると、注文時のレートでしか約定しません。スリッページの許容範囲の設定は、成行注文でのみ可能です。指値、逆指値では設定できません。
不利なレートでもいいので、約定させたい時は、スリッページの許容範囲を広げる。約定しづらくてもいいので、注文したレートで約定させたい時は、スリッページの許容範囲を狭くする。という事になります。
スプレッドの変動
FX会社のスプレッドを見ると、「米ドル/円0.3銭(原則固定)※例外あり」などと表記があると思います。この「(原則固定)※例外あり」という所がやっかいな所です。これは、スプレッドは拡がることがあるという意味です。
状況によって拡がり方は違います。ちょっとしたイベントで相場が荒れると、10や20pipsくらい平気で拡がります。リーマンショックの時などは、100pipsとか拡がっているFX会社もありました。
ロスカットの逆指値注文を入れても、スプレッドが拡がるとリスクは限定されないということになります。
約定率、スリッページ、スプレッドの変動のコストを最小限に抑えよう
約定率、スリッページ、スプレッドの変動。これらのコストは、対策することで最小限に抑えることができます。
知識があれば、対策することもできます。まずは、コストを最小限に抑える方法を知りましょう。
閑散相場でトレードしない
閑散相場とは、為替市場の参加者が少なく、注文があまりでていない状態のことをいいます。閑散相場では、約定率が悪く、スリッページが多く発生します。スプレッドも拡がりやすいです。
時間帯としては、ニューヨーク時間の後半からオセアニア時間までです。大体、AM3時から8時くらいまでが閑散としやすいです。
時季的には、クリスマスから年末まで。12月25日~12月31日までが閑散相場です。この時期は、薄商いで値動きも読みづらいのでトレードは控えましょう。
閑散相場でトレードしないことで、勝率は上がります。
経済指標発表時にトレードしない
経済指標の発表時は、スプレッドが拡がりやすいです。約定率も悪くなりますし、スリッページも多くなります。
とはいえ、経済指標の発表は1日に何度もあります。全ての経済指標時にトレードを控えるのは難しいかもしれません。ですので、重要度の高い指標発表の時だけトレードを控えるようにしましょう。
下のリンクはYAHOO!ファイナンスの経済指標発表のカレンダーです。重要度が星マークで示されています。最低でも星が3個ついた、最重要の経済指標の時はトレードを控えましょう。
最も重要度が高い指標は、米国のFOMC政策金利、貿易収支、非農業部門雇用者数、失業率です。それ以外も、米国の指標は為替相場全体を動かすことが多いので注意です。
他にも、円が絡む通貨ペアを取引するなら、日本の指標発表。ユーロが絡む通貨ペアを取引するなら、ドイツ、フランスなどの、ユーロ圏の国の指標発表に注意する必要があります。
重要指標発表時には、新規注文をしないだけではなく、ポジションがない状態にしてください。重要指標の発表時に、ポジションを持っていたら、事前に決済したほうがいいです。
実質的なコストがかからないFX会社を選ぶ
多くのFX会社は、様々な形で低コストをアピールします。
- 約定率100%、必ず約定します
- スリッページなし、すべることはありません
- 米ドル/円のスプレッドが0.3銭(原則固定)※例外あり
など、メリットを大々的に表示します。ですが、こういった情報には落とし穴があります。
それは、約定率100%、スリッページなし、スプレッドの変動なし、全ての条件が揃ったFX会社は存在しないという事です。FXを始める理由が、資産を増やすためであれば、宣伝文句は信用せず、総合的にコストが低いFX会社を選ぶ必要があります。
では、総合的にコストが低いFX会社は、どのように探したらいいでしょうか?全てのFX会社を自分で試すのは気が遠くなります。ネット検索して調べても、FX会社側の記事がほとんどなので、全てを信用はできません。
簡単に知る方法がひとつだけあります。それは、実際に資産を増やしているデイトレーダーが、使っているFX会社を知ることです。
プロのデイトレーダーは、入念な下調べを行ってから口座開設します。そして何より、トレーダー仲間から情報も入りやすいです。状況が変われば臨機応変にFX口座も変更します。
現在プロのデイトレーダーが使っているFX会社は、下のリンクページでも紹介しています。
デイトレするなら絶対にココ!初心者にもおすすめのFX会社【2020年版】
沢山のFX会社を紹介しても、どれが本当におすすめなの?ってなるので、本当に総合的にコストが低いFX会社だけを、厳選して紹介しています。