デイトレードにおいて、市場の注文(板情報)は重要な情報源です。しかし、この情報がいつも正しいわけではありません。特に「見せ板」には注意が必要です。見せ板とは、実際には売買する意図がないにもかかわらず、あたかも売買意欲があるかのように見せかけるために出される大量の注文のことを指します。
見せ板の目的
見せ板の主な目的は、株価の操作です。大量の買い注文を出すことで、市場参加者に「買い需要が高い」と錯覚させ、株価を押し上げようとする場合があります。逆に、大量の売り注文で「売り圧力が強い」と見せかけ、株価を下げようとすることもあります。
見せ板の例
板には87.500円に分厚い買い注文があります。
売り数量 | 株価 | 買い数量 |
198 | 88200 | |
162 | 88100 | |
155 | 88000 | |
182 | 87900 | |
87800 | 110 | |
87700 | 160 | |
87600 | 132 | |
87500 | 588 |
↓そして株価が下落すると?
売り数量 | 株価 | 買い数量 |
171 | 88000 | |
183 | 87900 | |
152 | 87800 | |
140 | 87700 | |
87600 | 110 | |
87500 | 160 | |
87400 | 155 | |
87300 | 182 |
87.500円にあった分厚い買い注文消えてしまいました。
87.500円にあった分厚い買い注文は見せ板だったと推測できます。株価を上昇させるための買うつもりのない注文だったため、価格が近づいたので注文を取りやめてしまったのです。このようは場合、見せ板を見て買っていたデイトレーダーは、驚いて損切りせざるおえなくなってしまうと思います。見せ板のせいで思わぬ損失が出てしまうことになるのです。
見せ板に惑わされないためには?
見せ板に惑わされずにデイトレードを行うには、以下の点に注意しましょう。
- 数ティック離れた位置の大量注文は、見せ板の可能性があると疑う。
- 実際に価格がその注文に近づくまでは、過度に反応しないようにする。
- 見せ板に騙されたとしても、慌てず冷静に次の戦略を練る。
見せ板は実際には売買するつもりのない注文なので、約定しないように現在の株価よりも数ティック離して出されています。見せ板に騙されないためには、数ティック離れたところの分厚い注文は「見せ板かもしれない」と疑っておきましょう。実際に価格が近づくまであまり参考にしないようにするといいかもしれません。
当然、見せ板は禁止されていますが、デイトレをしているとよく見かけるのが現状です。もし見せ板に騙された時には慌てずに冷静に対処したいものです。
デイトレードを行う際には、板情報だけでなく、市場全体の動きや他のテクニカル指標も併せて考慮することが重要です。見せ板に気を取られすぎず、自分の取引戦略に忠実である必要があります。